野鳥がもっと大きく撮れる一眼デジスコ

デジタル一眼レフではじめる超望遠撮影

Vol.3 もっと上手に撮るヒント

野鳥の姿をファインダーに 捉えて撮れるようになったら、 次は写真の構図を考えながら、 シャッターを切れるようになりたい。 今回は「一眼デジスコ」で写真を 上手に撮るポイントを紹介します。

正確なピント合わせで「ピンボケ」を防ぐ

  • 写真:キアシシギ(撮影/叶内拓哉)
    干潟の波打ち際を歩くキアシシギ。シギのなかまはエサを求めて歩き回るが、木々が茂っていない干潟での野鳥撮影は、ピント合わせの練習にも最適(撮影/叶内拓哉)

ファインダーに野鳥の姿を捉え、大きく撮れるようになったら、
「一眼デジスコ」で撮った写真をよく見てみましょう。
鳥の姿がクッキリと写っていれば問題ありませんが、
拡大してみると、ぼやけていませんか。

写真がクッキリせず、ぼやけて写るのには原因がいくつかあり、
「ピンボケ」「カメラブレ」「被写体ブレ」の3つが考えられます。

まずは「ピンボケ」。
野鳥にピントが合っておらず、その姿が“ぼやけてしまう”ケースです。
鳥のどの部分にもピントが合っておらず、
鳥の前後のどこかにピントがあっているようであれば、
ピンボケに間違いありません。

ピンボケを防ぐためには、スポッティングスコープの
フォーカスノブの操作方法を正しく理解し、
ファインダー像を見ながら、ピントが合っているかどうか
素早く判断する能力を身につけることが重要です。

  • 写真:TSN-880/770シリーズのピント合わせ TSN-880/770シリーズのピント合わせは、大小2つのフォーカスノブを操作して行う。径の大きなフォーカスノブ(クイックフォーカス)で大まかにピントを合わせ、径の小さなフォーカスノブ(ファインフォーカス)でピントの微調節を行う
  • 写真:ピントが合っていない状態ピントが合っていない状態では、ファインダーの像がぼやけて見える。フォーカスノブを操作し、像がクッキリと見える位置を見つけ出して撮影する(写真はピントが合っていない状態のイメージ)

ピントを合わせたのに“ぼける”のは「ブレ」が原因

  • 写真:カメラブレ対策
    シャッターを切るとき、振動が写真に影響を与えないように左手はスコープ上部から軽く押さえつけ、右手はカメラのグリップをしっかり握ってシャッターチャンスを待つのが、写真家・叶内拓哉流のカメラブレ対策

写真がぼやけて写る原因のひとつに「カメラブレ」があります。
ファインダーでしっかりピントが合っていることを確認したはずなのに
写真がぼやけてしまうのは、三脚や雲台が十分な性能を持っておらず、
シャッターを切る際の振動が写真に影響したと考えられます。

シャッターボタンを押す際に、力が入りすぎるとカメラブレの原因になります。
予めシャッターボタンを軽く押して(半押しの状態)シャッターチャンスを待ち、
撮る瞬間は力を入れずに、指の腹でさらに押し込むようにすると
無駄な力が入らず、ブレにくくなります。

また、デジタル一眼レフは、シャッターを切った瞬間に
カメラの中でミラーが大きく跳ねます。
その振動が原因でカメラブレを生じることがあります。
通常の撮影ではほとんど影響しないミラーの振動ですが、
「一眼デジスコ」のような超望遠撮影では問題となります。

こうした「カメラブレ」を防ぐためには、脚の太い大きめの三脚と
スポッティングスコープとデジタル一眼レフの重さを支えることができる、
本格的なビデオ用雲台を使うことが重要です。

「被写体ブレ」対策も野鳥撮影では重要

  • 写真:ISO感度
    ISO感度が「AUTO」や「100」に合わせてあり、シャッター速度が100(1/100秒)を切るような場合は、シャッターが速くなるように、カメラのISO感度の数値を高く(写真はISO800にセット)設定する
  • 写真:シャッター速度
    ISO感度を上げる際は、得られるシャッター速度の数値を見ながら設定値を決める(写真はデジタル一眼レフの液晶モニターに表示されるシャッター速度)
  • [画面はEOS50D]

野鳥がとまっている木の幹や枝、地面などがクッキリと写っているのに、
鳥の姿だけがぼやけて写っていたら「被写体ブレ」です。

晴れた日に、日が当たる場所にいる鳥であれば、
250(1/250秒)以上の速いシャッター速度が使え、
被写体ブレのないシャープな写真が撮れます。
しかし、日当たりのよくない森や林の中になると途端に、
シャッター速度は15(1/15秒)や8(1/8秒)と遅くなってしまい、
どんなに頑丈な三脚で一眼デジスコを固定しても、
鳥の動きを封じることはできません。

そんなときは、シャッター速度が最低でも100(1/100秒)以上に、
できることなら500(1/500秒)以上になるように
ISO感度の数値を高く設定し、撮影するといいでしょう。

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カメラワーク編